病院薬剤師はやりがいのある仕事です。
ご自分の仕事に誇りを持って働かれている方が多いのではないでしょうか。
それはそうなんだけど…。体力的にきつすぎるんだよね。
あくまで主観ですが、病院薬剤師時代は体力的にきついと感じるタイミングが多かった気がします。
今回は病院薬剤師が体力的にきつい理由について確認していきます。
夜勤・当直がきつい
病院薬剤師に特有の勤務内容に夜勤・当直業務があります。日勤帯の業務は問題なくこなしていても、夜勤・当直業務によって体力がごりごり削られる方もいるのではないでしょうか。
夜勤や当直の何がつらいのか言語化してみました。
夜勤 | 当直 |
勤務時間は夕方から翌日朝まで。 法廷時間内の夜の勤務なので、休憩時間以外は普通に働きます。仮眠は与えられた休憩時間内に行います。 | 勤務時間は朝から翌日朝まで。 夕方からは法廷対応時間外の勤務であり、緊急の対応のみを行います。制度上は一応睡眠のための時間が確保されています。 |
業務量が多い
各病院によって状況は異なると思いますが、
日勤帯と比較してこなす業務量がそこまで変わらない印象があります。
急性期病院、中核病院、救急車の受け入れをしているような病院に勤務している薬剤師の方は特に共感いただけるのではないでしょうか。
夜とか関係ありませんよね、病院なので。
オーダリングシステムにつながった印刷機は夜も元気に稼働して、無限に処方箋吐き出してくるので、夜勤帯薬剤師も夜も元気にエンドレス調剤。
そして遅番帯や夜勤帯みたいなスタッフが減ったタイミングでなぜか印刷機が詰まり、ODPや散剤分包機の紙が切れる。そのタイミングで病棟から注射剤配合変化の問い合わせやら行方不明の薬の捜索依頼やら鬼のように電話がかかってくる。
調剤しながら散剤分包機の紙変えながらDI業務。晩ごはんは途中で断念し、冷めゆくごはんを尻目に調剤室をひた走る。シンプルに地獄。思い出したら吐きそうになってきました。
私が勤務していた病院は病床数が多く薬剤師の業務が細分化されていました。慣れない業務を行うことが負担になっている同僚もいました。
夜勤明けは身体的不調がある
睡眠不足、精神的負担等複合的な理由により、夜勤明けは必ず身体的不調を感じていました。
私が感じていた不調は
- 強烈な眠気
- 口内炎
- 便秘
- 下痢
- 腹痛
- 肌荒れ
- 倦怠感
- ドライアイ
です。
毎回すべての不調が生じていたわけではないのですが、まったく不調がない夜勤明けは経験したことがありません。
帰宅後はしばらく布団から出られません。
病人のように寝続けて気づけば夜だったこともあります。
ここまではいかなくても、同僚も体力回復のために帰宅後まず寝るという意見が多かったです。
一方、同じ病院で働く看護師の中には夜勤明けに街に繰り出し買い物したりアグレッシブに行動している方も少なくありませんでした。
個人差もあるとはいえ、看護師さんはタフな方が多い印象がありますね。
生活リズムが狂う
個人差はあると思いますが思いますが、夜勤後1-2日は元のペースに戻るまで時間がかかります。
夜勤明けに充分な休息を取っても日勤業務に復帰した初日は
- 倦怠感
- 眠気
- 集中力低下
といった症状に多少なりとも悩まされます。
- 夜勤の頻度が高い場合
- 年齢を重ねて体力の衰えを感じる場合
は特に問題になると思います。
職業上、集中力が落ちるのは死活問題です。
絶対に起きなくてはいけない緊張感がある
私が勤めていた病院では夜勤者用のPHSを持たされていました。電話には出なければいけないので、夜勤帯薬剤師は調剤室の固定電話子機と夜勤帯PHSを抱きしめて行動することになります。仮眠のタイミングでは着信音が聞こえなかったらどうしようと思って、固定電話の子機とPHSを枕元に置いて寝ていました。
起きられないほど深く眠るのも怖いし、電話が鳴ればすぐにメモを取らないといけないので明かりを煌々とつけた状態で寝る必要がありました。
夜勤の場合一応休憩時間が決められているので電話がかかってこなくても休憩時間が終わる頃には起きなくてはいけません。そのため、2時間とかでアラームをセットして就寝することになります。
電話に出なければいけない緊張感がある中、電気を煌々とつけて、2時間のアラームをセットした状態で熟睡できる方は少ないと思います。必然的に目覚めもあまりよくありません。
当直室の布団がゴワゴワで寝心地が悪い
これ全病院共通じゃなかったら申し訳ないんですけど、私が勤務していた病院では掛布団(毛布)がゴワゴワのカッチカチでした。
想像しにくい方に向けて説明すると、青少年自然の家とかで使われてそうな毛布と言えばいいでしょうか。毛糸で作られるタワシをギチギチに作った感じにも似てます。
毛糸なのに固い、みたいなそんな感じです。
間違えてもニトリの寝具売り場とかには置かれてないようなタイプですね。
冬は寒いし夏は暑い謎仕様で、これが嫌で夜勤を疎む人いるんじゃないかなと思うレベルでした。
当直室の寝心地が最悪だったメリットとしては、夜勤明けに帰宅した自分のベッドの掛布団の気持ちよさに感動できることですかね。
ユニフォームの寝心地が悪い
夜勤というか寝ることばかり語っててすみません。
夜勤中は、もちろん勤務時間中なのでユニフォームのまま仮眠を取ることになります。
そうなるとゴワゴワの掛布団の中にユニフォームのままで滑り込むことになるのですが、このユニフォームがまた更なる安眠妨害を引き起こします。
ユニフォーム、当たり前ですがパジャマではないので伸びない素材だし寝返りのたびに突っ張るんですよね。あと、人にもよるかもしれませんが、私は胸ポケットにぎゅうぎゅうにペンとハサミとポケット医薬品集的なものを詰め込んでたので、寝返りを打つたびにゴリゴリするし重たいのです。
夜勤を何回かしているうちにポケットのものはすべて取り出して寝るようにしたのですが、少しはましになりました。
ユニフォームの寝心地が最悪だったメリットは、夜勤明けに帰宅した自分のパジャマの着心地のよさに感動できることですかね。
夜勤が原因で仕事に行きたくないと思っているあなたはよかったらこちらに夜勤・当直がきつい方向けの対策をまとめているのでご覧ください。
勤務日数が多い
勤務先によって変わるとは思いますが、求人サイトを見ている感じだと、薬局と比較していい年間休日数が少ない病院が多い気がします。
薬局は土日連続休みが少ないので、何をとるかという話にはなりそうですが。
次に記載してるんですけど、病院薬剤師は勤務時間も長いことが多くて、もはやどこが家かわからない。
あと理不尽な休み取り消しあるんですよね。
理不尽な休み取り消しパターン①なぜか休日に学会準備係として駆り出される
シンプルに違法じゃないんですかね。
あれは賃金発生しておらず、自己研鑽的な何か扱いだったと思います。
自己研鑽、実に便利な言葉ですよね。
何度書き直してもどうしても愚痴っぽくなってしまいすみません。
体力的な負担はもちろん、本来は休みだったはずなのにという精神的なストレスもありあまり良い思い出となりませんでした。
理不尽な休み取り消しパターン②参加必須のカンファレンスやら院内行事のため呼び出される
こちらのパターンはまだ優しめです。夕方とかから来ればいいので。
夕方までは休日、夕方から数時間自己研鑽です。
病院勤務してたら自己を研鑽しすぎて磨耗して散剤にでもなってしまいそうですよね。
いやー毎日自己研鑽自己研鑽、お疲れさまです。
勤務日数が多いことが辛いと感じている方向けに、考えられる対策も記載しています。
よかったら参考にしてみてくださいね。
勤務時間が長い
勤務先によって変わりますが、薬局に比べて病院は勤務時間が長いことが多いと思います。
勤務開始時間が早い
薬局へ転職後に気づいたのですが、病院は勤務開始時間が早いです。大体8時半とかじゃないでしょうか。
薬局は9時開始のところも多いので、朝寝坊さんも安心です。大学通学と同じ感覚でいけます。
病院はそうはいきません。
そもそも勤務開始時間が8時半だとして、8時半に調剤室に到着したんじゃ遅いんですよね。特に新人。
私が新人の頃は、出勤2日目から1時間前集合でした。
1時間前集合って、ギャグかよと思いましたが、
心の中は大荒れ模様でしたが、
おとなしく1時間前集合していました。
調剤室に7時半着です。出勤2日目から1時間前集合になったので、まだ業務内容も把握できておらず何すればいいかわかりませんでした。
新人以外のスタッフはその時間まだ来ていないので時間持て余してました。
ちょっと今思い出しても意味わからないです。
勤務終了時間後にカンファレンスや勉強会がある
もちろん定時で帰宅することはありません。
業務が終わらないというのもありますが、付帯業務というのか、カンファレンスやら勉強会やらほぼ強制参加の業務終了後のイベントが多いのです。
残業代はつかないんですけどね。自己研鑽という名目のもと行われる業務(?)です。
新薬勉強会とか勉強にはなるんでしょうけど、疲れ果てて寝てましたね。今思えばもったいないです。
そしてカンファレンスや勉強会が終わった19時ごろからやっとその日の記録をカルテに書き始めます。
担当患者さんへの対応で早出や残業が常態化する
薬局薬剤師との違いの一つとして病院薬剤師は担当患者さん(病棟)を持つことが多いです。
担当患者さんがいると求められる情報処理能力が格段に上がります。
担当患者へ行う業務の一例
- 初回面談・持参薬確認
- 入院後予定している治療薬の説明
- 治療中の薬剤の効果・副作用モニタリング
- 術後の疼痛モニタリング
- お薬手帳の作成・退院指導
これらの業務は患者さん一人ずつに生じます。
担当患者数は各病院の方針にもよるでしょうが、十人から、私の場合は多ければ三十人を超える場合もありました。
検査目的や術後フォロー目的の入院の方ばかりであれば、業務負担はそこまでではありません。
しかし中には
- 化学療法施行予定の方
- 自己注射製剤開始予定の方
- ポリファーマシーかつ認知機能に問題があり身寄りがない退院後の薬剤管理に課題がある方
といった、薬剤師の介入が強く望まれる患者さんも受け持ちます。その割合は決して少なくありません。
薬剤師の介入が重要な患者さんをひとたび担当すれば、退院するまで毎日フォローし続けなくてはいけません。
はじめから重要度が分かっている方ばかりであれば良いのですが、気づけば明日から化学療法開始予定になってたりする事もあります。
慌てて業務終了後にお薬説明書を印刷して抗がん剤パンフレット持って病棟に上がる事になります。
このように毎日遅くまで病院にいる薬剤師の方は多いのではないでしょうか。
私ももれなくそのような生活を送っていたため、晩ごはんは病院でコンビニ飯のことも多かったです。
一度帰宅途中にあるうどん屋さんに寄ろうと思ったら閉まってて絶望しました。21時過ぎてたんでそりゃ閉店してますよ。
帰宅するとお風呂に入って寝るだけなので、同僚はもはや入院しているようなものだよねと言ってましたね。
私も同意ですね。
立ちっぱなし動きっぱなし
健康状態に問題がなければいいのですが、妊娠中だったり体調がすぐれないときは問題となります。
調剤業務中は立ちっぱなし動きっぱなし
ピッキングの際はあちこちの棚に薬を取りにいかないといけないので動かざるを得ません。
調剤中は致し方ないですが、勤務先によっては監査の時も立ちっぱなしな場合があります。
監査時の立ちっぱなしは解せないですね。
病棟業務中は立ちっぱなし動きっぱなし
病室を回るときも、ナースステーションで看護師さんや医師に申し送りをするときも基本的には立ちっぱなし動きっぱなしです。カルテ記載時は椅子に座れますが、病棟でも薬剤部内でもカルテは取り合いになることがありました。
また、病棟と薬剤部の行き来で階段昇降を数往復していました。
座れるのは昼休憩とカルテ記載のタイミングのみで、疲れたらカルテ記載していました。
昼休憩の時にどんなに食べても痩せていくほどエネルギー消費量が大きかったです。
業務負担が大きい
病院の業務内容は多岐にわたっていて、特に新人の頃は覚えることが多くてプレッシャーを感じます。
業務内容が多岐にわたる
病院薬剤師は業務内容が幅広いですよね。病床数の多い病院では薬剤師の数も多くなり、業務が細分化されている事が多いです。
その場合、部署移動してしまえば一から業務を覚え直さなければなりません。
- 調剤業務
- 抗がん剤調製業務
- TPN調製業務
- 院内製剤調製業務
- DI業務
- 病棟業務
また、病棟業務も担当する病棟が変われば担当する診療科が変わります。
それぞれの診療科によって入院して来る患者さんの病態も入院目的も治療薬も全く異なります。
そのため、病棟異動の際は一から勉強し直す必要があります。
特に化学療法施行患者が多い診療科や精神科は、配属されてしばらくは自己研鑽に励む必要性を感じます。
注射剤の調剤(輸液類)は体力勝負である
注射剤、特に輸液の調剤きつくないですか?
病棟毎のまとめての払い出しとかだと、輸液の入った段ボールに埋もれながらの調剤になりますよね。
私がいた病院ではコンテナをキャスター台に乗せての払い出しだったので、抱え上げたりする訳ではなかったのですが、それでもきつかったです。
あと地味に段ボール箱で指切るんですよね…
アルコール消毒を頻繁にするので、傷にしみて痛かったです。
一人が担当する業務量が多い
各病院によって程度の差はあると思いますが、一人が担当する業務量多くないですか?
診療科の特性上ポリファーマシーの患者さんばかりなのに持参薬確認一病棟全員分しなければならない。
なお、今日の新規入院数は9人である。
とか
病棟に行ける時間は午前中だけだけど入院患者さんが3人、明日化学療法1クール目day1開始予定患者さんが2人、day2で副作用モニタリングしたい患者さんが1人、明日退院予定の予定の患者さんが2人。
とか。
残業しないと終わらない仕事量だったように思います。
緊急対応が多い
病院の種別にもよるとは思いますが、病院薬剤師はやけに緊急対応多くないですか?
何とか死にものぐるいで持参薬確認を終わらせてホッとしたタイミングで緊急入院入ったり。
緊急入院の患者さん家族が持参薬もお薬手帳も説明書も持って来てなくて。
光の速さでその患者さんのかかりつけの薬局を調べたらその薬局の閉店時間を2分過ぎたところで。
祈るような気持ちで問い合わせの電話したり。
明日施行予定で入力を催促してた化学療法のオーダーを確認したら誤り発見して。
オーダーした医師は緊急手術に入っちゃって連絡通じなくなってたり。
あれ?この患者さん今日いきなりレジメンオーダー入ってるけど、今日から化学療法始まるの?
みたいな事もありますよね。
体力的にも精神的にも夕方からの緊急対応は疲れましたね。
飲み会がつらい
病院薬剤師特有の現象な気がしますが、ありがたいことに各方面から飲み会に誘っていただけます。
特にお盆前と年末は忙しいですよね。
自分の所属先である薬剤部からのお誘いはもちろん、病棟単位、医師のチーム単位、プライベートで若手の薬剤師、医師や看護師とあちこちからお誘いいただけます。
次の日休みとかではなく普通に勤務なのでセーブしたいのに、誰もセーブしない。させてくれない。カラオケで喉枯れるまで叫び、飛び跳ねるアラサー集団。眠くて目こすってたら、眠そうにするなと怒られたこともあります。
二次会三次会当たり前で、終電逃してタクシー乗ったことも数え切れないです。
楽しかったし後悔はないですが、当時は翌朝起きるのが苦痛で屍のようになっていました。
学会発表や勉強会などの付帯業務が多い
特定機能病院や地域の基幹病院となるような、いわゆる大きい病院に特徴的な悩みかもしれません。
通常業務が終わった後も
- 薬剤部内の勉強会
- 病院内の勉強会(チーム医療、Ns向けなど)
- 病院近隣薬局に向けての勉強会
- 学会発表
こんな感じの業務てんこ盛りで帰れない。
一生資料作り続けていた覚えがあります。
しかも自己研鑽扱いなので残業代も出ない。
本当に毎日お疲れ様です。
身体的不調が続く
風邪をひきまくる
私が一番最初に心折れた原因がこれです。やけに風邪ひく。特に新人の一、二ヶ月の間はずっと風邪ひいてました。
何しろ務めているのが病院なので、感染症にかかるリスクは比較的高いと思います。
また、上記のように心身を休める余白がなければ体調を崩すのも必然です。
私が病院に勤めていた当時は新型コロナがまだ猛威を振るう前で、
「体調管理は基本。多少の体調不良は無理してでも仕事に穴をあけないように。」
という雰囲気だったので、体調不良の身体を引きずって出勤してました。
今思えばそれが患者さんのためになっていたかというと、それは違ったと思います。
風邪以外にも身体的不調が続くようになる
仕事が苦痛なあまり、身体的症状として表出する場合があります。
この項目は特に深刻に捉えたほうがいいと考えています。
当時の私にもあったことですが、身体的不調は見逃してはいけないと思います。
具体的に当時の私に起こった身体的不調は以下の通りです。
- 調剤室でミスを発見されるとお腹が冷たく痛くなる。
- 頻繁に下痢をする。
- 謎の頭痛で業務時間中に起き上がれなくなる。
- 寝ても寝ても眠い。
医療従事者である私達薬剤師は骨身に染みて理解していることですが、人間は身体が資本です。
一度壊れてしまったら元には戻りません。
病院はポケモンセンターなのようにHPを100%まで回復させてくれるところではありません。
早期治療が最善です。
身体的な症状が出てきたら、内科と心療内科受診を検討するようお勧めします。
また、症状の深刻さによっては上司への相談や休職、退職の検討も必要かもしれません。
私のいた職場では、実際に休職された方もいました。
どうか身体の声に耳を傾けて無理はしないでくださいね。
まとめ
病院薬剤師の仕事が体力的にきつい理由について実体験と少しの愚痴を交えながら記載してきました。
病院薬剤師の皆さん、お疲れさまです。
良かったらそれぞれの対策についてもまとめていますので、興味があれば覗いてみてくださいね。
体力的にはきついですが、やりがいのある薬剤師という仕事。
誇りを持って明日からも働けますように、応援しています。
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